アキ部長えっ、うちの『完全乾燥(パーフェクト・ドライ)サブレ』、賞味期限が業界最長で、粉落ちもしないんですよ!すごくないですか!?
取引先(カフェ店長) 「へぇ、すごいですね。(……で? それがうちの店と何の関係があるの?)」



(あ、あれ? 全然響いてない……。汗が止まらん……撤収!!)



やれやれじゃな。お主が必死に叫んでいたのは『メリット』じゃ。相手が欲しがっているのは『ベネフィット』なんじゃよ。
そこを履き違えているから、いつまで経っても売れないんじゃ。



また出たな! いやでも、メリットとベネフィットって、日本語にしたらどっちも『利益』とか『良いこと』じゃないんですか? 違いなんてあるのか?



大ありじゃ。その勘違いが、お主の営業成績を泥沼に沈めている原因じゃぞ。
今日はその腐った脳みそを叩き直してやるから、心して聞くのじゃ。
- 「商品には自信があるのに売れない」理由が明確にわかる
- 上司や顧客に「つまりどういうこと?」と聞き返されなくなる
- メリットをベネフィットに変換する「魔法の言葉」が手に入る
メリットとベネフィットの違いで売上が倍増する理由
正直に告白しよう。俺、アキ部長(40代・菓子メーカー営業)は、今の今までこの2つを混同していた。
「良いところを伝えれば売れる」
そう信じて、カタログスペックを暗記しては、客先でマシンガントークを繰り広げていたんだ。
でも、神さまに指摘されてハッとした。
AIが普及した現代、スペック比較なんて一瞬で終わる時代だ。
だからこそ、カタログには載っていない、人間にしか語れない「ベネフィット(未来)」が重要なんだ。
まずは、この2つの言葉の決定的な「主語の違い」を理解するところから始めよう。
ここを間違えると、どんなに良い商品もゴミ同然に扱われてしまうからな。
メリット(Merit)の意味:主語は「商品」
メリットとは、ズバリ「その商品やサービスが持っている特徴・売り・機能」のことだ。
主語は常に「商品(Company)」になる。
- このパソコンは、CPUが最新だ。
- このサブレは、水分含有量が0.1%以下だ。
- この洗剤は、界面活性剤を使っていない。
これらはすべて事実であり、商品の強み(メリット)だ。 しかし、これだけを聞かされた顧客はどう思うだろうか?
「ふーん、性能がいいんだね。(すごいとは思うけど、私には関係ないかな)」
そう、メリットだけでは「自分事」にならないんだ。俺が冒頭でやらかした失敗は、まさにこれだった。
ベネフィット(Benefit)の意味:主語は「顧客」
対してベネフィットとは、「その商品を使ったことで、顧客が得られる嬉しい未来・体験」のことだ。
主語は「顧客(Customer)」になる。
ここが超重要だ。顧客はお金を払って商品が欲しいわけじゃない。
「その商品によってもたらされる、快適な生活や問題解決」にお金を払うんだ。
有名なマーケティングの格言(※T・レビット博士)にこういうものがある。
「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではない。『穴』である」
- メリット(ドリル): 1分間に3000回転する、超硬合金の刃がついている。
- ベネフィット(穴): 力のない私でも、一瞬でキレイな穴が開けられ、DIYの棚が完成する。
どうだろう? 俺が売るべきは「乾燥したサブレ」ではなく、「サブレによってカフェ店長が得られるハッピーな未来」だったんだ。
ベネフィットとプロフィットの違い【ビジネス基礎】



なるほど……。主語が違うのか。でも神さま、『プロフィット』って言葉も聞くけど、ベネフィットと似てないか?
良い質問じゃ。カタカナ用語にアレルギーがあるお主にしては鋭いな。
プロフィット(Profit)は、ビジネス上の『金銭的な利益』を指すことが多いぞ。
整理するとこうなる。
- ベネフィット: 顧客が得られる「体験」「恩恵」「満足感」(心理的なものも含む)。
- プロフィット: 企業が得られる「儲け」「収益」(数字で表せるもの)。
我々営業マンが提案書で語るべきは、まず「顧客へのベネフィット」だ。
顧客がベネフィットを感じて商品を購入し、その結果として、我々の会社に「プロフィット(利益)」がもたらされる。
この順番を逆にして、「俺たちのプロフィット(売り上げ)のために買ってくれ!」というオーラを出すから、嫌われるんだ。俺のことだけどな。(泣)
メリット・ベネフィット・バリューの例【サブレ営業の実録】
ここからは、実際に俺が扱っている架空の商品『完全乾燥(パーフェクト・ドライ)サブレ』を例に、どうやって思考を切り替えたのかを恥ずかしげもなく公開するぞ。
失敗例:メリットだけの提案書になっていないか?
俺が最初にカフェチェーンの本部へ持っていった提案書の表紙には、こう書いてあった。
「水分含有量0.1%以下! 業界最長賞味期限のサブレをご提案」
そして本文には……
- 特徴1: 特殊製法で極限まで乾燥させています。
- 特徴2: 個包装フィルムは3層構造です。
- 特徴3: 1枚あたりの単価は30円です。



……これを見て、カフェのオーナーはどう思う?



『へぇ、パサパサしてそう』……とか?



その通りじゃ! 『賞味期限が長い』はメーカー側の自慢(メリット)に過ぎん。オーナーにとってどんな得があるかを翻訳せんかい!
成功例:メリット・ベネフィット・バリューの変換表
そこで俺は、神さまに言われるがまま、表を作って整理してみた。
「メリット(事実)」を「ベネフィット(未来)」に変換する作業だ。
この表は、スマホに保存して毎日見てほしいレベルだ。
| 項目 | メリット(商品の特徴) | ベネフィット(顧客のハッピーな未来) | バリュー(提供価値) |
|---|---|---|---|
| 賞味期限 | 180日保存可能 | 在庫廃棄ロスがゼロになる。発注の手間が月1回で済む。 | コスト削減と業務効率化 |
| 食感 | 水分0.1%以下の乾燥 | コーヒーに浸しても崩れず、「浸して食べる」新体験を提供できる。 | 客単価アップの話題性 |
| 包装 | 3層フィルム個包装 | 提供直前まで湿気ない。テイクアウトのついで買いを誘える。 | レジ横売上の創出 |
これだ!!
「賞味期限が長いんだ!」と叫ぶのではなく、 「このサブレなら、御社の課題である『フードロス』をゼロにできるぞ」 と伝える。これがベネフィット提案だ。
この変換ができた瞬間、相手の顔色が「ふーん」から「え、詳しく聞かせて」に変わるのが見えたんだ。マジで鳥肌が立ったぞ。
明日から使えるベネフィット例文(営業トーク)
では、実際に俺が商談で使って、クロージングに成功したトーク例(例文)を紹介しよう。 あんたの商材に置き換えてみてくれ。
例文1:PC販売のケース(機能→効率)
顧客の悩み:「社員が『PCが遅い』と文句を言っているが、買い替え予算が厳しい」
- × メリット(響かない) 「このPCは起動が5秒だ。最新のSSDを搭載している」
→ (顧客の心の声:速いのはわかるけど、高いんでしょ?) - ○ ベネフィット(刺さる!) 「毎朝のPC起動待ち時間がなくなる。始業と同時にメールチェックが終わるから、全社員が毎日15分の残業を減らせるぞ。残業代削減で、PC代の元は半年で取れる」
→ (顧客の心の声:なるほど! コスト削減になるなら決裁が通しやすい!)
例文2:化粧水のケース(成分→感情)
顧客の悩み:「最近肌の調子が悪く、鏡を見るのが憂鬱」
- × メリット(響かない) 「ヒアルロン酸を従来の3倍配合した」
→ (顧客の心の声:成分の話は難しいし、他社も同じこと言ってるなぁ) - ○ ベネフィット(刺さる!) 「夕方の化粧崩れを気にせず、マスクを外して堂々と笑顔で会話できるようになるぞ。鏡を見るのが楽しみになるはずだ」
→ (顧客の心の声:そう! 私は笑顔で過ごしたかったの!)
例文3:コンサルティングのケース(実績→安心)
顧客の悩み:「新しいシステムを入れたいけど、失敗して責任を取らされるのが怖い」
- × メリット(響かない) 「弊社は導入実績1000社を誇る」
→ (顧客の心の声:すごいけど、うちの会社で成功するかは別でしょ?) - ○ ベネフィット(刺さる!) 「御社と同じ業界での成功事例が豊富にあるから、失敗するリスクを最小限に抑えてプロジェクトを進められるぞ。あんたが社内で評価されるよう全力でサポートする」
→ (顧客の心の声:ここなら私の立場を守ってくれそうだ!)
刺さるベネフィットの使い方は「4つの質問」で決まる



変換表を作ればいいのは分かった! でも、いざ自分の商品でやろうとすると、言葉が出てこないんだよ……。



うむ。それは『誰に』届けるかがボヤけているからじゃ。ベネフィットは相手によって変わる。カメレオンのようなものじゃ。
刺さるベネフィットを生み出すには、以下の手順で思考を整理してくれ。ここが今日一番の山場だぞ。
1. 顧客が本当に欲しいものを探る(ターゲット設定)
例えば、俺のサブレを「女子高生」に売るなら、 「ロスが出ない(経営視点)」なんてベネフィットは響かないだろ? 彼女たちには、「動画映えするザクザク音(体験視点)」がベネフィットになる。
まず、「目の前の相手が何に困っているか」を具体的に想像するんだ。
2. 特徴を「だから何?」で深掘りする実習
これが最強のメソッドだ。 商品のメリットに対して、「だから何?(So What?)」とツッコミを入れ続けてくれ。
深く掘れば掘るほど、相手の心臓に刺さる言葉が出てくる。
【実践! アキ部長の脳内会議】
- メリット: このサブレは硬い。
- (自分ツッコミ)硬いと、だから何?
- → 割れにくい。
- (まだ弱い。これじゃ物流担当者にしか響かない)
- (自分ツッコミ)割れにくいと、だから何?
- → 配送中にボロボロにならない。
- → 箱を開けた瞬間、綺麗な状態でお客様に届く。
- (自分ツッコミ)綺麗な状態で届くと、だから何?
- → ギフトとして贈った相手に「失礼だ」と思われない。
- → 贈った人の「センス」が褒められる。
- ★真のベネフィット到達!
- 「大切な人への贈り物として、絶対に失敗したくないあなたへ。あなたの『気遣い』を完璧な形でお届けします」
こうやって深掘りしていくと、ただの「硬い菓子」が「人間関係を守るギフト」に化けるんだ。すごくないか?
3. 「メリット」と「ベネフィット」を繋ぐ言葉を使う
文章にする時、唐突にベネフィットを語ると「怪しい」と思われることもある。
メリット(根拠)とセットで伝えるために、以下の接続詞を使ってみてくれ。
- 「~という特徴(メリット)がある。これによって、御社は~できる(ベネフィット)」
- 「~の機能(メリット)がある。つまり、あんたの~という悩みが解決する(ベネフィット)」
- 「~だ(メリット)。だから、~なんだ(ベネフィット)」
4. 競合との「違い」を明確にする
ベネフィットを語れる競合は意外と少ない。
みんなスペック自慢に忙しいからな。 だからこそ、「他社製品も機能は同じだが、御社のこの業務フローに合うのは弊社の製品だけだ」と言い切る。
ここまでくれば、価格競争に巻き込まれずに済む。「安くして」と言われなくなるんだ。
まとめ:メリットとベネフィットの違いまとめ



いやー、目が覚めたわ。俺、今までお客さんを見てるようで、商品のスペック表しか見てなかったんだな。



気づいたなら上出来じゃ。スペックは『根拠』として大事じゃが、人を動かすのはいつだって『未来(ベネフィット)』じゃよ。忘れるでないぞ。
最後に、今日のポイントを整理しよう。明日からの営業で即使えるはずだ。
- メリット(Merit)
- 主語は「商品」。
- 特徴、機能、スペック、事実。
- 顧客の反応:「ふーん、すごいね」
- ベネフィット(Benefit)
- 主語は「顧客」。
- その商品を使った後の「ハッピーな未来」「問題解決」。
- 顧客の反応:「それが欲しかった! いくら?」
- 変換の魔法
- メリットに対して「だから何?(So What?)」と問いかけ続けること。
あんたがもし、提案書やブログ記事で手が止まったら、一度立ち止まって考えてみてくれ。 「これ、主語が自分(商品)になっていないか?」と。
主語を「あなた(顧客)」に変えた瞬間、その言葉は最強の営業ツールに変わる。
俺はこの後、書き直した提案書を持って、もう一度あのカフェ店長のところへ行ってくる。
今度こそ、「で?」なんて言わせない。「契約書どこ?」と言わせてやるさ。
あなたのことも応援してるぜ!







