アキ部長「おいおい神さま、聞いてくれよ! 今日、自信満々で新商品のスペック表を説明したら、部長に『それメリットだろ! ベネフィットがないんだよ!』って怒られたんだよ!
どっちも『良いところ』だろ? 何が違うんだよ~!」



「やれやれ、お主はまだそのレベルか。『メリット』は商品の自慢、『ベネフィット』は客のハッピーじゃ。
その違いも分からずに営業しておるから、いつまで経っても契約が取れんのじゃよ。」
この記事では、長年の経験が邪魔をして「機能説明」ばかりしてしまう40代営業職のために、「メリットとベネフィットの決定的な違い」を解説します。
さらに、小難しいマーケティング理論はAIに丸投げし、Geminiを使って「カタログのスペック」を「売れる言葉」に一瞬で変換する具体的な手順を解説します。
- 部長が納得する「メリットとベネフィット」の決定的な違い
- なぜ40代は「機能(スペック)」ばかり語ってしまうのか?
- 【コピペOK】Geminiに丸投げして「刺さる提案文」を作るプロンプト
そもそも「メリット」と「ベネフィット」は何が違う?【30秒で理解】



「よいか、まずは言葉の定義を叩き込むのじゃ。ここを間違えるとAIへの指示も狂うぞ。」
メリットは「商品の自慢」、ベネフィットは「顧客のハッピー」
多くの営業マンが混同していますが、マーケティングの巨匠フィリップ・コトラーやデビッド・アーカーの理論に基づくと、両者の違いは「主語」にあります。
- メリット(Merit / Advantage):
- 主語: 商品・サービス
- 意味: その商品が持っている「ウリ」や「機能的な優位性」。
- 例: 「このパソコンは1kgと軽いです」「この洗濯機は静音モーターです」
- ベネフィット(Benefit):
- 主語: 顧客(ユーザー)
- 意味: 商品を使った結果、顧客が得られる「嬉しい未来」や「体験」。
- 例: 「(軽いから)毎日の通勤カバンが重くなくて楽ですよ」「(静かだから)夜中に洗濯しても近所迷惑になりませんよ」



「なるほど! メリットは『モノ』の話で、ベネフィットは『ヒト』の話ってことか!」
【比較表】ドリルを売るな、穴を売れ(アナログ営業版)
マーケティングの世界には**「ドリルを買いに来た客は、ドリルが欲しいのではなく『穴』が欲しいのだ」**という有名な格言があります。これを現代の家電や営業シーンに置き換えて整理しました。
| 項目 | メリット (Merit/Advantage) | ベネフィット (Benefit) |
|---|---|---|
| 視点 | 売り手(メーカー)視点 | 買い手(顧客)視点 |
| 主語 | 「この商品は〜」 | 「あなたは〜」 |
| ドリル | 毎分3000回転の強力モーター | 力がいらず、DIYがプロ並みに仕上がる |
| 洗濯機 | 洗剤の自動投入機能がある | 毎回計る手間が消え、手が汚れない |
| 営業 | 当社のツールは分析機能が豊富 | 社長は直感で経営判断ができる |



「お主が今まで語っていたのは左側じゃ。
客はお主の商品の『回転数』には興味がない。『楽ができるか』『褒められるか』にしか金は払わんのじゃ。」
なぜ40代営業マンは「ベネフィット」を考えるのが苦手なのか?


経験が邪魔をする?「機能」を説明したくなる罠
40代のベテランほど、商品知識が豊富です。しかし、その知識量が仇となります。
「FAB分析(Feature/Advantage/Benefit)」というフレームワークがありますが、多くの人はFeature(特徴)とAdvantage(利点)だけで満足してしまい、Benefit(便益)まで辿り着けません。
- Feature(事実): この車はハイブリッドだ。
- Advantage(メリット): だから燃費が良い。
- Benefit(便益): ……(ここで思考停止)
- 本来の答え: ガソリン代が浮くので、週末に家族で贅沢なランチに行ける(情緒的ベネフィット)。
【NG集】やってはいけない「メリット押し売り」トーク
以下のようなトークをしてしまっているなら、要注意です。これらは全て「自分語り」です。
- 「当社のサーバーは稼働率99.9%です!」(だから何?)
- 「この保険は特約が10個もついてます!」(複雑で面倒くさそう…)
- 「最新のAIを搭載しています!」(使いこなせるか不安…)
脳みそに汗をかくな!変換作業はAI(Gemini)の得意分野
「顧客のハッピーな未来」を想像するのは、クリエイティブな能力が必要で、疲れている営業マンには酷な作業です。
しかし、「事実(スペック)」から「未来(ベネフィット)」を連想する作業こそ、膨大な学習データを持つLLM(大規模言語モデル)であるGeminiが最も得意とする領域です。



「そうそう! 『で、どうなるの?』って考えるのが面倒なんだよな。
それを神さま(AI)がやってくれるなら最高だぜ!」
【API不要】Geminiに「メリット」をコピペして「ベネフィット」に変換する泥臭い手順
ここからは、実際に明日から使える「泥臭い」手順を解説します。
API連携などの難しい設定は一切不要です。
Step 1:商品のカタログやHPの文章をコピー(または撮影)
まず、提案したい商品のパンフレットや、自社サイトの「機能一覧」のテキストを用意します。
紙の資料しかない場合は、スマホで写真を撮るだけでOKです。
Step 2:Geminiを開いて「魔法の指示文(プロンプト)」を貼る
Geminiを開き、以下のプロンプトを貼り付けます。
このプロンプトは、マーケティング理論(FABE分析やアーカーのベネフィット分類)をAIに強制させるための特別な命令文です。
あなたは世界トップクラスのセールスライターです。
以下の[商品情報]を読み込み、ターゲット顧客に強烈に刺さる「ベネフィット」を提案してください。
# 変換ルール(FAB分析)
1. Feature(特徴):商品の事実・スペック
2. Advantage(メリット):機能的な優位性
3. Benefit(ベネフィット):顧客が得られるハッピーな未来・体験
# 出力形式
ターゲット別に、以下の3種類のベネフィットを具体的に書き出してください。
A. 機能的ベネフィット(便利、時短、コスト削減)
B. 情緒的ベネフィット(安心、優越感、ワクワク)
C. 自己表現ベネフィット(「〇〇な自分」になれる)
# [商品情報]
(ここにカタログの文章をコピペ、または写真をアップロード)
Step 3:出力された「殺し文句」をメールやトークに使うだけ
- 手順1:Geminiにプロンプト入力 上記プロンプトの
(ここにカタログ...)の部分に、テキストをペーストするか、写真を添付して送信します。 - 手順2:出力結果を確認 Geminiが「この機能があれば、社長は毎月のコスト会議でドヤ顔ができます(情緒的ベネフィット)」のような、人間では思いつかない表現を出してくれます。
- 手順3:コピペして送信 あとは、その言葉をメールや提案書に貼り付けるだけ。
【実例】Geminiで変換した「劇的ビフォーアフター」(菓子業界編)
実際にGeminiを使うとどう変わるのか、菓子業界の実例を見てみましょう。
メーカーの営業マンが小売店のバイヤーに提案するシーンを想定しています。
ケース1:季節限定商品(春のいちごチョコ)
- 元のメリット(カタログ): 「福岡県産あまおう果汁100%使用。ピンク色の春限定パッケージ。3月末までの期間限定販売。」
- Gemini変換後のベネフィット(スーパーのバイヤー向け):「売り場に並べるだけで『春の訪れ』を演出し、季節イベントに敏感な主婦層の足を止めさせます。SNS映えする見た目が『ついで買い』を誘発し、客単価アップに直結します。」
ケース2:健康系商品(GABA配合チョコ)
- 元のメリット(カタログ): 「GABA100mg配合。手につきにくいコーティング加工。便利なチャック付きパウチ。」
- Gemini変換後のベネフィット(コンビニ店長向け):「ストレス社会で戦うビジネスマンの『癒やしステーション』として機能します。
デスクワーク中でも汚れを気にせず食べられるため、オフィスの引き出しに常備される『指名買い商品』になります。」
ケース3:贈答用アソート(老舗コラボ商品)
- 元のメリット(カタログ): 「創業100年の老舗和菓子店監修。個包装30個入り。賞味期限6ヶ月。」
- Gemini変換後のベネフィット(百貨店ギフト担当向け):「『絶対に外さない手土産』を探しているビジネスパーソンの救世主となります。
日持ちと個包装が『職場で配りやすい』という安心感を与え、お中元・お歳暮シーズンの法人需要を確実に刈り取れます。」



「どうじゃ? お主がウンウン唸って考えていた時間が、3秒で終わったじゃろ。
しかも、デビッド・アーカーの理論に基づいた『情緒的価値』まで入っておる。」
【応用編】ターゲット別に刺さる言葉を変えるテクニック


「社長」と「現場担当者」では響くベネフィットが違う
同じ商品でも、相手によって刺さる言葉は変わります。 例えば、業務システムを売る場合:
- 経営者(社長): 「ROI(投資対効果)」や「売上アップ」がベネフィット。
- 現場担当者: 「残業が減る」「操作が楽」がベネフィット。
Geminiなら「相手」を変えるだけで書き分けも一瞬
先ほどのプロンプトに一言加えるだけで、Geminiは相手に合わせた言葉を選んでくれます。
- 追加指示: 「ターゲットは『決裁権を持つ50代の社長』です。経営課題の解決に焦点を当ててください。」
- 追加指示: 「ターゲットは『ITが苦手な40代の現場リーダー』です。安心感と楽さに焦点を当ててください。」
Google AI Pro(旧Gemini Advanced)の活用 無料版でも十分優秀ですが、有料版の「Google AI Pro(Gemini 3Pro)」は、より長い文脈を理解し、推論能力が高いため、「なぜこのベネフィットが社長に響くのか」というロジックまで解説してくれます。
また、企業向けプラン(Gemini for Google Workspace)なら、入力データが学習に使われないため、機密情報を含む提案書の作成も安心です。
※詳細はGoogle Workspaceのセキュリティ(公式)を確認してください。
まとめ:明日から「考える」のをやめて「選ぶ」営業になろう


メリットとベネフィットの違いを頭で理解しようとするから失敗します。
「メリット(素材)」をGeminiに入れて、「ベネフィット(料理)」を出してもらい、一番美味しそうなものを選ぶ。 これがAI時代の賢いサボり方です。
明日からのアクションプランはこれだけです。
- 商品カタログの写真を撮る
- 本記事のプロンプトをGeminiに貼る
- 出てきた「殺し文句」をメールの件名に入れる



「要するに、『カタログを撮って、神さまに投げて、出てきた言葉をパクる』ってことだな!これなら俺でもできる!」



「その通りじゃ。さあ、まずは今日届いた一番わかりにくい商品のチラシを撮影してみるのじゃ! 顧客の顔色が驚くほど変わるぞ。」
- 無料版のGeminiに社外秘のカタログを入れても大丈夫?
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一般公開前の新製品情報などは避けたほうが無難です。無料版のデータはAIの学習に使われる可能性があるため、すでに公開されているHPの情報や、固有名詞を伏せたテキストを使用しましょう。
- 生成された文章が誇大広告にならないか心配です。
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Geminiは時に話を盛ることがあります(ハルシネーション)。日本の景品表示法(優良誤認)に触れないよう、必ず「事実(Evidence)」に基づいているか、自分の目で最終確認をしてください。

