PASONAの法則の例文・テンプレート｜Geminiを使えば「穴埋め」すら不要になる理由

「売れる文章の型」として有名なPASONAの法則。

これを覚えれば強力な武器になりますが、慣れていない人が見様見真似で書くと、「胡散臭い詐欺メール」になってしまうリスクもあります。

この記事では、理論の勉強はAIに任せて、「Geminiに指示するだけ」で刺さる営業メールを作る裏技を解説します。Outlookを開いたまま、サクッと終わらせてしまいましょう。

そもそも「PASONA（パソナ）の法則」とは？

マーケティングの権威、神田昌典氏が提唱した「読み手の行動を促す」ための構成です。

現在は少しアップデートされ、「新PASONAの法則」が主流になっています。

1. P (Problem / 問題): 顧客の悩みを指摘する。「経理作業、面倒ですよね？」
2. A (Affinity / 親近感): 寄り添う。「わかります、私も昔は徹夜してました」
3. S (Solution / 解決策): 解決策を出す。「このAIツールなら自動化できます」
4. O (Offer / 提案): 具体的な提案。「今なら無料でお試しできます」
5. N (Narrowing down / 絞込): 限定性を出す。「先着5社限定です」
6. A (Action / 行動): 行動させる。「今すぐここをクリック」

【コラム】昭和の「押し売り」vs 令和の「共感」

なぜ今、「煽り」ではなく「親近感」なのか？

昭和の営業は「不安を煽って売りつける（Agitation）」が基本でした。

「このままだと大変なことになりますよ！」と脅して契約を取るスタイルです。

しかし、令和の現代人はSNSなどで情報武装しており、煽り文句にうんざりしています。

そこで重要になるのが「Affinity（親近感）」です。

「売り手」と「買い手」という対立構造ではなく、「同じ悩みを共有するパートナー」という立ち位置を示すことで、初めて顧客は耳を傾けてくれます。

【悲報】おじさんが自力でPASONAを書くと「怪しい詐欺メール」になる

しかし、このPASONAの法則、慣れていない人が見よう見まねで書くと大事故になります。

特に40代のベテラン営業マンが陥りがちなのが、以下の2つの失敗パターンです。

失敗例①：恐怖を煽りすぎる「オラオラ営業」

件名：【緊急】御社の経理業務は崩壊寸前です！！！

（旧A：Agitation） このままだと社員が次々と辞めていき、倒産のリスクがありますよ！ 今すぐ対策しないと手遅れになります！

失敗例②：共感を履き違えた「自分語りおじさん」

件名：経理業務のご提案

（勘違いA：Affinity） 経理の辛さ、わかります。私も若い頃は苦労しましてね。バブルの頃はタクシー券が使い放題で、銀座で飲み明かした後に会社に戻って…（以下、武勇伝が20行続く）

「それは『共感』ではなくただの『自分語り』じゃ。相手が求めているのは『私の今の痛みをわかってくれる言葉』だけじゃよ。」

自分で書こうとすると、どうしても「売りたい欲」や「自分語り」が出てしまい、バランスが崩れてしまうことがあります。

だからこそ、感情の制御ができるAIに任せるべきなのです。

【解決策】Geminiに「PASONAで書いて」と頼むだけの魔法のプロンプト集

ここからが本題です。

以下のプロンプト（命令文）をGeminiにコピペし、カッコ内を埋めるだけでOKです。

今回は営業メールだけでなく、「謝罪」や「社内提案」に使えるバリエーションも用意しました。

1. 【基本】PASONA営業メール生成プロンプト

以下の情報を元に、見込み客に送る「営業メール」を作成してください。

#制約事項

・マーケティングフレームワーク「新PASONAの法則」の構成（Problem -> Affinity -> Solution -> Offer -> Narrowing -> Action）に従うこと。

・【重要】Affinity（親近感）パートを重視すること。 恐怖を煽るのではなく、「私も同じ悩みを抱えていた」「その苦労、よくわかります」と相手の痛みに寄り添い、信頼関係（ラポール）を築く表現にすること。

・ターゲットである40代〜50代の担当者が読みやすい、丁寧だが堅苦しすぎないビジネスメール調にすること。

#入力情報

・売りたい商品・サービス名: [ここに商品名を入れる（例：クラウド経理ソフト『楽々会計』）]
・ターゲットの悩み: [ここに悩みを入れる（例：月末の領収書入力で残業続き、インボイス対応が面倒）]
・商品の強み: [ここに強みを入れる（例：AIが領収書をスキャンして自動仕訳。入力ミス99%削減）]
・オファー内容: [特典などを入れる（例：30日間無料トライアル、初期費用0円）]

2. 【応用】炎上を防ぐ「謝罪メール」プロンプト

PASONAは謝罪にも使えます。

P（ご迷惑をおかけした事実）→ A（相手の怒りへの共感・理解）→ S（解決策・再発防止）の流れです。

以下の情報を元に、顧客への「謝罪メール」を作成してください。

#制約事項

・PASONAの法則を応用し、特に「Affinity（相手の感情への寄り添い）」と「Solution（具体的な解決策）」を明確にすること。
・言い訳がましくならないよう、誠実なトーンで記述すること。

#入力情報

・トラブル内容: [例：システム障害でサービスが2時間停止した]
・顧客への影響: [例：業務がストップし、多大な迷惑をかけた]
・原因と対策: [例：サーバー負荷の急増。サーバー増強済み]
・お詫びの品: [例：来月分の利用料を無料にします] 

3. 【番外編】上司を説得する「社内プレゼン」プロンプト

以下の情報を元に、上司に新しいツール導入を承認させるための「提案書の構成案（PASONAベース）」を作成してください。

#制約事項
・上司のメリット（コスト削減、管理が楽になる等）に焦点を当てること。
・Affinityパートでは「部長が抱える管理業務の大変さ」に理解を示すこと。

#入力情報
・提案したいこと: [例：営業支援ツール『SFA-X』の導入]
・現状の問題点: [例：日報作成に毎日30分かかっている、集計ミスが多い]
・導入効果: [例：日報時間が5分に短縮、売上集計が自動化される]
・費用対効果: [例：月額5万円だが、残業代削減で十分ペイできる] 

【実演】Geminiが書いた「PASONA営業メール」のBefore/After

では、基本の営業メールプロンプトを使って、Geminiに書かせてみましょう。

条件：

• 商品：AI経理ソフト
• ターゲット：残業に疲れた経理部長
• 重視点：Affinity（親近感）

Geminiの生成結果（新PASONA適用）

件名：月末の領収書処理にお疲れではありませんか？（経理業務効率化のご提案）

〇〇株式会社 経理部長 △△様

いつもお世話になっております。株式会社〇〇のアキです。

（Problem：問題提起） 毎月末、山のような領収書とExcel入力に追われ、本来注力すべき経営分析やマネジメント業務に手が回らない……。インボイス制度への対応も重なり、そんなジレンマを抱えていらっしゃいませんか？

（Affinity：親近感） 実は、私どもも以前は全く同じ課題に直面していました。 専任の担当者を増やす予算もなく、私も深夜まで入力作業を行い、疲弊していた時期がございます。だからこそ、「正確さ」と「スピード」の両立がいかに難しいか、その苦労は痛いほど理解しております。

（Solution：解決策） そのような現場の苦い経験から開発されたのが、弊社のAIクラウド経理ソフト『楽々会計』です。 特許取得の画像認識技術により、スマホで撮影するだけで仕訳が完了。入力ミスを99%削減し、法改正にも自動で対応します。

（Offer & Narrowing：提案と絞込） 現在、御社の実際のデータでお試しいただける「30日間完全無料トライアル」をご用意しております。 サポート品質維持のため、毎月先着10社様限定でのご案内となっており、今月は残り3枠です。

（Action：行動） もしご興味がございましたら、下記URLより詳細をご確認いただけないでしょうか？ 登録は1分で完了します。

[URLリンク]

このように、Geminiを使えば、「共感」と「論理」が黄金比率で配合されたメールを一瞬で作成することができます。

【AI検索対策】なぜGeminiで作ったPASONAは「Google」にも好かれるのか？

ここからは少し専門的な話ですが、Geminiを使ってPASONAライティングをすることは、「SEO（検索エンジン対策）」や「SGE（AI検索）」の観点からも非常に有効だと考えられます。

理由1：AIは「論理構造」が大好物

GoogleのAIは、支離滅裂な文章よりも、論理的に整理された文章を高く評価します。

PASONA（問題→解決→行動）という流れは、AIにとって「最も理解しやすい構造（プロトコル）」の一つです。

理由2：「Affinity（体験・共感）」が信頼性の証になる

最近のGoogle検索（E-E-A-T評価）では、「誰が言っているか」「実体験に基づいているか」が重視されます。

プロンプトで「Affinity」を強化し、「私（自社）も同じ苦労をした」というエピソードを盛り込むことで、AIはそれを「信頼できる一次情報（Experience）」と認識しやすくなります。

つまり、PASONAを使うことは、人間への説得だけでなく、Google検索AIへのアピールにもなるわけですね。

Google AI Pro（有料版）なら「添付ファイル」から一発生成

さらに楽をしたい方には、有料版の「Google AI Pro（旧Gemini Advanced）」がおすすめです。

無料版とPro版の違い：扱える量と「脳みそ」の性能 実は現在、無料版でもPDFのアップロードは可能です。

しかし、Gemini有料版（Google AI Pro）は「一度に読める量（コンテキスト）」が圧倒的に多く（約1500ページ分）、より複雑な推論ができる「Gemini 3Pro」モデルを使えるため、分厚いマニュアルの解析精度が段違いです。

Pro版を使った超時短テクニック

1. 自社商品のチラシや提案資料（PDF）をGeminiにアップロードする。
2. 以下のプロンプトを入力するだけ。

この添付資料の商品を売り込むための営業メールを作成してください。 フレームワークは「新PASONAの法則」を使用し、ターゲットである中小企業社長が「自分の悩みをわかってくれている」と感じるような、共感性の高い文章にしてください。

※Google AI Proのセキュリティについて： 法人向け有料版（Gemini for Google Workspace等）で入力したデータは、AIの学習には利用されません。社外秘の資料を扱う場合は、会社のルールを確認した上で、有料版の使用を強く推奨します。（出典：Google Workspace セキュリティ）

まとめ：PASONAの型は覚えず、AIへの「頼み方」を覚えよう

AIは、あなたの仕事を奪う敵ではありません。

面倒な「文章作成」を肩代わりしてくれる、優秀な部下です。 さあ、空いた時間でサウナにでも行きましょう！

AIが書いた文章だとバレませんか？

そのまま送ると少し「優等生すぎる」場合があります。最後に「語尾を少し崩して」「もう少し熱意を込めて」と追加指示するか、ご自身の手で一文だけ「先日お話しした件ですが〜」とオリジナルな内容を足すと完璧です。

スマホからでも使えますか？

はい、GoogleアプリやGeminiアプリから利用可能です。出先や移動中のタクシーの中で、音声入力で「この件の謝罪メール書いて」と指示し、完成した文面をメールアプリに貼り付けるだけで仕事が終わります。

PASONA以外にも使える型はありますか？

あります。「AIDMA（アイドマ）」や「QUEST（クエスト）」などが有名ですが、営業メールであればまずはPASONA（特にAffinity重視）が効果的です。まずはこれだけ使いこなしましょう。

「Affinity」を書くためのエピソードが思いつきません。

その場合もAIに聞きましょう。「経理担当者が抱えがちな悩みと、それに共感するエピソードを3つ挙げて」とGeminiに聞けば、使えるネタを提案してくれます。