「アキさん、この間の提案書、ちょっとピンとこなくて……今回は見送ります」
電話越しに言われた言葉に、俺は思わずスマホを握りしめた。
正直、自信はあったんだ。 うちの『完全乾燥(パーフェクト・ドライ)サブレ』は、業界でもトップクラスの保存性を誇る傑作だからな。
アキ部長「なんで伝わらないんだ。こんなにいい商品なのに!」
帰りの社用車の中で、ハンドルを叩きながら叫んだよ。
商品のスペック、製造工程のこだわり、他社との違い……全部書いたのに。 まるで、壁に向かって喋っているような虚しさだった。



「……そりゃそうじゃ。お主の文章は、誰にも話しかけておらんからな」
突然、助手席のスマホが光り、神さまが現れた。



「お主の提案書はな、『俺の話を聞けぇ!』というジャイアンのリサイタルと同じじゃ。
相手が『知りたい』と思う前に、無理やり口にサブレを突っ込もうとしておる。それでは1秒でゴミ箱行きじゃよ」



「ぐっ……! でも、商品の良さを伝えないと売れないだろ? どうすればいいんだよ!」



「相手の心を鷲掴みにし、勝手に『欲しい』と言わせる魔性の構成……【Quest(クエスト)の法則】を使うのじゃ。
これさえあれば、お主のような口下手なアナログ営業でも、読んだ相手を行動させることができるぞ」
- 「文章が書けない」という苦手意識が消え、穴埋めするだけで提案書が完成する。
- 営業メール、LPだけでなく、提案用動画やSNSでも反応が取れるようになる。
- 「カクテルパーティー効果」などの心理学を味方につけ、売れるべくして売れる文章が書ける。
Questの法則とは?【メインキーワード】を完全攻略
「Quest(クエスト)の法則」と聞いて、俺は最初RPGゲームのことかと思った。
でも全然違った。 これは、世界的なコピーライターであるマイケル・フォーティン氏が提唱した、「消費者の購買心理に沿って文章を構成するフレームワーク」のことだ。



「横文字……! もう眠くなってきたぞ」



「諦めるなポンコツ! 要は『相手を主人公にした物語を作れ』ということじゃ。一方的な売り込みではなく、相手を冒険(Quest)に連れ出すんじゃよ」
H3:Quest法の5ステップ(Qualify, Understand, Educate, Stimulate, Transition)


この法則は、5つの英単語の頭文字をとっている。 俺なりに、現場で使えるように超訳してみたぞ。
- Qualify(宣言・絞り込み):「これ、あなたのことですよね?」と呼び止める。
- Understand(共感・理解):「その悩み、痛いほどわかります」と寄り添う。
- Educate(啓蒙・教育):「実は、解決策があるんです」と教える。
- Stimulate(興奮・刺激):「今やらないと損しますよ!」と背中を蹴る。
- Transition(変化・行動):「さあ、こちらへ」と手を引く。
この順番が大事なんだ。
俺たち営業マンは、いきなり「3. Educate(商品の説明)」から始めがちじゃないか? 「うちのサブレはすごいんです!」って。
でも、相手が「自分の悩みに関係ある」と思わない限り、商品の説明なんて雑音でしかないんだよ。
Quest 心理 学が刺さる理由(カクテルパーティー効果)
なぜ、この【Quest 心理 学】が強力なのか。
神さまに聞いたら、ちゃんとした学術的な裏付けがあったんだ。
一番重要なのは、最初のQualify(絞り込み)だ。
ここには、心理学でいう「カクテルパーティー効果」が働いている。
カクテルパーティー効果とは?
騒がしいパーティー会場でも、「自分の名前」や「興味のある話題」だけはハッキリ聞こえる現象のこと。脳は自分に関係ない情報を「ノイズ」として遮断している。
つまり、「皆さん聞いてください!」と叫んでも誰にも届かないが、「そこの、在庫処分に困っている食品メーカーの社長さん!」と言えば、その人だけには雷が落ちたように届く。
Questの法則は、この脳の仕組みをハックする技術なんだ。
- Qualifyで脳のフィルターを突破し、
- Understandで「敵じゃない」と安心させ、
- Stimulateで感情を揺さぶる。
これ、テクニックというより、「人間の本能への接待」だな。
【実例】サブレの営業トークをQuest の法則例で直してみた
論より証拠だ。 俺が以前使っていた「ダメな営業トーク」と、Questの法則を使った「改善後のトーク」を比べてみよう。
Before:アキ部長の「俺通信」トーク
「お世話になります! 弊社の完全乾燥サブレですが、独自の二度焼き製法で水分含有率を1%以下に抑えておりまして、なんと半年も持つんです! しかもバターは北海道産を100%使用しており……(延々と続く)」
After:Questの法則を使った「魔法の」トーク
- 【Q】 「◯◯社長、もしかして『食品ロスの廃棄コスト』に頭を悩ませていませんか?」
- 【U】 「やっぱりそうですか……。せっかくいいお菓子を作っても、賞味期限切れで捨てなきゃいけない時の辛さ、現場の社員さんも心を痛めてますよね」
- 【E】 「実は、味を落とさずに賞味期限を『半年』まで伸ばせる、魔法のようなサブレがあるのをご存じですか? これなら廃棄ゼロが実現できます」
- 【S】 「他社さんは既に導入して、廃棄コストを年間300万円も削減しました。このままだと、御社だけが無駄なコストを払い続けることになります……!」
- 【T】 「まずは一度、試食してみませんか? 今なら無料サンプルをお持ちします」



……これ、自分で読み返しても『After』の方が話を聞きたくなるな
「そうじゃろ? 商品そのものの説明は【E】でちょろっと触れただけじゃ。
大事なのは『相手の悩みがどう解決されるか』という物語なんじゃよ」
Questの法則をLP(ランディングページ)に実装する
さて、ここからが応用編だ。 Webの世界、特にLP(ランディングページ)では、Questの法則は鉄板中の鉄板だ。
PESONAの法則(最新版PASONA)との違い
これまで「PASONA(パソナ)の法則」が有名だったが、実は最新のマーケティングでは「PESONA(ペソナ)の法則」へと進化している。
神田昌典氏の著書『稼ぐ言葉の法則』で提唱された最新モデルだ。
ここが違う! PASONAの進化系「PESONA」
- Problem(問題)
- Empathy(共感)← New!
- Solution(解決策)
- Offer(提案)
- Narrow(絞込)
- Action(行動)
以前のPASONAでは2つ目が「Affinity(親近感)」や「Agitation(煽り)」だったが、最新のPESONAでは「Empathy(共感)」になっているのが最大の特徴だ。
「同調する」だけでなく、相手の痛みを「自分のことのように感じる」レベルまで寄り添うことが、現代では求められているんだな。


QuestとPESONAの使い分け
どちらも強力な型だが、以下のように使い分けるといいぞ。
| 特徴 | Questの法則 | PESONAの法則(最新) |
|---|---|---|
| 強み | ターゲットの絞り込み (Qualify) | 深い共感 (Empathy) |
| 向いている場面 | ターゲットが明確なBtoB、高単価商品 | 悩み解決系、コンプレックス商材 |
| スタンス | 「お前だ!」と指名手配する | 「私も同じ痛みを知っています」と隣に座る |
今回の俺の事例のように、「食品ロスに悩む経営者」という明確なターゲットがいる場合は、Questの方が圧倒的に刺さる。
「お前だ!」と指差される感覚になるからだ。
GDTの法則で「欲求」を刺激するテクニック
Questの法則の4番目、Stimulate(刺激)。 ここで相手の感情を爆発させるために使えるのが、GDTの法則だ。



「人間には逃れられない3つの欲求レベルがあるんじゃ。これを刺激すれば、理性が吹き飛ぶぞ」
- Goal(目標):楽をしたい、時間を節約したい、お金を節約したい(Save Time, Effort, Money)
- Desire(欲望):富、愛、健康が欲しい(Greed, Lust, Comfort)
- Teaser(本能):好奇心、希少性、反社会性(Curiosity, Scarcity, Controversy)
例えば、サブレの営業なら……
- 「置くだけで勝手に売れます(Goal:楽をしたい・時短)」
- 「競合他社はまだ知りません(Teaser:希少性)」 これらを【S】のパートに盛り込むと、相手は「今すぐ買わなきゃ損だ!」と焦り始めるはずだ。
BEAFの法則と組み合わせて最強の構成を作る
さらに、Webページやチラシ全体の構成を作る時は、BEAFの法則という枠組みの中にQuestを流し込むといいぞ。
- Benefit(こんな未来が手に入る)
- Evidence(証拠はあるか)
- Advantage(他社より優れているか)
- Feature(具体的な特徴)
Questの法則で「感情の流れ」を作り、BEAFの法則で「論理的な裏付け(証拠やスペック)」を補強する。 これで、感情と理性の両方から攻める鉄壁の布陣が完成するわけだ。
B2B営業での動画活用(ビデオセールス)
「メーカー営業が動画? ふざけてると思われるんじゃ……」 俺も最初はそう思って反対した。
チャラチャラした動画なんて、取引先に失礼だと。
だが、それは大きな誤解だった。 今は「読む時間がない多忙なバイヤー」のために、1分動画でプレゼンする「ビデオセールス」がB2Bでも増えてきつつあるんだ。
Questの法則を使えば、これが「最強の提案資料」に化ける。
ふざけない!信頼を勝ち取る「品質証明動画」の型
踊ったり、流行りの曲を使う必要なんてない。
むしろB2Bでは、「百聞は一見にしかず」を突き詰めた動画が喜ばれるんだ。
Questの法則を使った、1分間の「商品プレゼン動画」の構成例を見てくれ。
- 【Q】Qualify(0-5秒):相手を指定
- 「割れやすくて配送に困っている、ギフト菓子のバイヤー様!」
- 【U】Understand(5-15秒):現場の悩みを共有
- 「お客様の手元に届いた時にクッキーが割れていた……というクレーム、本当に胃が痛くなりますよね」
- 【E】Educate(15-40秒):証拠を見せる(※ここが動画の強み)
- 「弊社の完全乾燥サブレをご覧ください。(映像:高いところから落としても割れない実験映像、サクッというASMR音)。この強度が、クレームをゼロにします」
- 【S】Stimulate(40-50秒):導入効果
- 「ある企業様では、これで配送事故による返品コストが年間100万円減りました」
- 【T】Transition(50-60秒):次のアクション
- 「サンプルを送りますので、ぜひ一度、御社のデスクで落としてみてください」



なるほど! ふざけるんじゃなくて、テキストや写真じゃ伝わらない『硬さ』や『音』を見せるために動画を使うのか!



その通りじゃ。メールに『実験動画はこちら』とURLを貼るだけで、成約率が変わるぞ。これぞB2BのQuest活用術じゃ
アキ部長の実践結果:売れない恐怖からの脱却
正直に言う。 最初は「こんなテンプレートに当てはめるだけで、本当に売れるのかよ」と半信半疑だった。
自分の言葉じゃない気がして、抵抗もあったしな。 実際、最初はターゲットを絞りきれずに失敗もした。「誰でもいいから買ってくれ」じゃダメなんだ。
でも、背に腹は代えられない。 俺は、来週のアポ取りメールをQuestの法則(Quest 法)に沿って書き直した。
送信ボタンを押す手は震えてたよ。
結果は…… 返信率が、いつもの3倍になった。 (※もちろん商材にもよるだろうが、俺の場合は劇的だった)
【コピペOK】神さま直伝!ChatGPT用プロンプト
最後に、自分で書くのが面倒(苦手)な人のために(俺もそうだ)、神さまに教えてもらった「Questの法則を一撃で作るプロンプト」を置いておくぞ。 これをChatGPTやGeminiに貼り付けるだけで、叩き台が完成する。
# 役割
あなたは世界一のコピーライターです。 以下の情報を元に、「Questの法則」に基づいた営業メールの文章を作成してください。
## 前提条件
-商品名:[商品名を入力]
-ターゲット:[誰に売りたいか具体的入力]
-ターゲットの悩み:[具体的な悩み]
-商品の強み:[具体的な強み・実績]
## 出力構成
-以下の5ステップで構成すること。
・Qualify:ターゲットを明確に呼びかけ、問題提起する。
・Understand:悩みに深く共感し、信頼を得る。
・Educate:解決策(商品)を提示し、その根拠を示す。
・Stimulate:ベネフィットと緊急性を伝え、欲求を刺激する(GDTの法則を活用)。
・Transition:具体的な行動(クリックや返信)を促す。
## トーン&マナー
-親しみやすく、かつ信頼感のあるトーン
-スマホで読みやすいように、一文ごとに改行を入れる
テンプレート公開:明日から使えるQuest法
もちろん、手書きでやる人のためのテンプレートも再掲しておく。 モニターの横に貼っておいてくれ。
【件名】 (ターゲットの悩み)でお困りの(役職・立場)様へ【Q】
【本文】 (相手の名前)様
突然のご連絡失礼いたします。 株式会社〇〇のアキと申します。
最近、(業界のトレンドや共通の課題)によって、 (具体的な悩みの描写)というお声をよく耳にします。【Q】
現場を預かる(相手の役職)様としては、 (悩みの深刻さへの共感)という状況、本当に頭が痛いですよね。【U】
実は、弊社が開発した(商品名)なら、 (従来の方法)とは違い、(解決策の提示)が可能なんです。【E】
実際に導入された企業様では、 (具体的な数字の実績)という成果が出ており、 「もっと早く知りたかった」と喜ばれています。【E】
ただ、この(商品名)は(希少性の理由)のため、 毎月〇社様限定でのご案内となっております。【S】 今ならまだ、(特典やメリット)も間に合います。【S】
もしご興味があれば、 (商品のURLや資料請求リンク) こちらから詳細をご確認いただけないでしょうか?【T】
無理な売り込みはいたしません。 (相手のメリット)のお役に立てれば幸いです。
まとめ:Questの法則は「読者へのラブレター」だ


Questの法則を使って俺が一番変わったのは、売上だけじゃない。
「お客様のことを、真剣に考えるようになった」ことだ。
- あの人は何に悩んでいるんだろう?(Qualify)
- どんな言葉なら「分かってくれた」と思うだろう?(Understand)
これを考えている時間は、まるでラブレターを書いている時と同じだ。 自分よがりな「俺通信」をやめて、相手を主人公にする。 それがQuestの法則の本質だったんだ。



「神さま、俺、営業がちょっと楽しくなってきたぞ!」



「ふん、調子のいい奴じゃ。だが、その『相手を想う心』こそが営業の極意じゃよ。忘れるでないぞ」
あなたも、もし「言葉が届かない」と悩んでいるなら、一度この型を使ってみてほしい。 きっと、面白いように景色が変わるはずだ。
さあ、次はあなたの番だ!







