アキ部長神さま聞いてくれよ! 最近、妻へのLINEが完全に「業務連絡」扱いなんだよ。 俺は、今日の営業の成果とか、見つけた美味いラーメン屋のこととか、愛情込めて長文で送ってるのによぉ!
返信が「了解」スタンプ一個って、冷たすぎねえか!? なんで俺の熱意が伝わらねえんだ!?



ほっほっほ。アキよ、それはお主が「お腹いっぱい」にさせてしまったからじゃよ。 人間というのはな、「全てを知ってしまった相手」には興味を失う生き物なんじゃ。
それは夫婦だけの話ではないぞ? お主、商談でも同じように「カタログの隅から隅まで」説明して、客に飽きられておらんか?
あなたはパートナーや大切なお客様に対して、自分のことを「全部知ってほしい」と思って喋りすぎた経験はないでしょうか? あるいは、LINEのラリーや商談を「きれいに完結させよう」としていませんか?
実はその「真面目さ」こそが、人間関係でも営業でも「いい人どまり」で終わる最大の原因です。
この記事では、人間の脳の習性を利用した心理テクニック「ツァイガルニク効果」を解説。
恋愛の「既読スルー対策」を学びながら、実は「明日のお客様訪問」にも使えるテクニックを同時にマスターできる内容になっています。
- 既読スルーの原因は「満足感」? ツァイガルニク効果の正体。
- 【実録】アキ部長のダメLINEを添削! 追わせる文章術。
- 営業:「資料は置いていかない」? アナログ営業流・追わせる技術。
ツァイガルニク効果とは?「未完成」が脳を支配する


まずは基本の解説です。
ツァイガルニク効果(Zeigarnik effect)とは、旧ソビエトの心理学者ブルーマ・ツァイガルニクが提唱した、「人間は、達成したことよりも、中断されたことの方を強く記憶する」という心理現象です(参考:Psychology Today “Zeigarnik Effect”)。
- 完了したタスク: 脳が「終わったこと」として記憶の倉庫に片付けてしまう(忘れる)。
- 未完了のタスク: 脳が「まだ終わってない!」と緊張状態を保ち、常に意識の最前面に置く(気になる)。
テレビドラマが一番盛り上がるところで「次回へ続く!」と終わるクリフハンガー手法も、この効果を応用したものです。
恋愛も営業も「お腹いっぱい」にさせるな
アキ部長のように、一方的に自分の情報や商品スペックをすべて話してしまうと、相手の脳内では「この人のデータ収集は完了(タスク終了)」という処理がされます。
これでは、家に帰ってからあなたのことを思い出す余地がありません。
「秘すれば花」という言葉があるじゃろ。
相手に「あの人の話、もっと聞きたかったな」「あの商品の続きはどうなったんだろう?」というモヤモヤ(未完了感)を残すこと。 それが、相手の脳内に強制的に住み着くための唯一の方法なんじゃよ。
なぜ脳は「未完成」を追うのか?
少し専門的な話をすると、これは脳の「認知的緊張(Cognitive Tension)」に関係しています。
心理学の専門メディア『Verywell Mind』などの解説によると、脳は解決していない問題(=未完了タスク)があると、それを解決しようとして無意識にリソースを使い続けます。
これが「侵入思考」として現れ、ふとした瞬間に相手のことを思い出してしまうのです。
これが恋愛においては「気になって仕方がない」「気がつくとその人のことを考えている」という恋の初期衝動に似た状態を作り出します。
【LINE・電話編】即レス・完結を捨てろ!「焦らし」の技術
では、具体的なアクションです。まずは現代のコミュニケーションの主戦場であるLINE。
ここで真面目な営業マンほどやりがちな「即レス・丁寧な完結」は、実は逆効果です。
相手を沼らせるLINEの黄金パターン(恋愛編)
▼ツァイガルニク効果を最大化するLINE術
盛り上がった瞬間に切る 会話が一番盛り上がっている時に、「ごめん、ちょっと急用が入った!また後で連絡するね」と意図的に中断させます。
相手は「えっ、今の話題の続きは!?」と宙ぶらりんの状態になり、あなたの連絡を待ち構えるようになります。
また、スタンプで完結させないというのもポイントです。
「おやすみ」スタンプで会話をきれいに終わらせると、タスクが「完了」してしまいます。
あえて既読スルーのまま翌朝を迎え、「寝落ちしてた! おはよう」と再開することで、「昨日の続き」という感覚を持続させられます。
【実録】アキ部長の「撃沈LINE」添削クリニック
ここでは、アキ部長が実際に奥様に送って「既読スルー」されたLINEを、神AIが添削します。どこがダメか、あなたも考えてみてください。
Before:アキ部長の「お腹いっぱいLINE」
お疲れ様!今日も暑かったね〜。俺は今日、広島の工場に行ってきたよ。新しいサブレの試作品が出たんだけど、これがまた最高でさ!また今度持って帰るね。 そういえば、来月の連休だけど、温泉とかどうかな?箱根あたりがいいかなと思ってるんだけど、空いてる日ある? 返信待ってるね!(スタンプ)
【ここがダメ!】
- 報告が長い: 日記のような報告は、相手に「ふーん」と思わせて終了です。
- 質問が重い: 日程調整という「面倒なタスク」を投げているため、後回しにされます。
- 自己完結: 最後にスタンプまで押しており、相手が入る隙間がありません。
After:神AIの「ツァイガルニクLINE」
今日、すごい美味しいもの見つけちゃった。(写真なし) 今度持って帰るから楽しみにしてて!
あと、来月の連休で相談があるんだけど、今夜少し時間ある?
【ここが改善点!】
- 情報を隠す: 「美味しいものって何?」と気にさせます(写真もあえて送らない)。
- 相談を持ちかける: 具体的な日程を聞くのではなく、「相談がある」とだけ伝えて、直接話す場(未完了タスク)を作ります。
- 短文: パッと読めて、続きが気になる長さで止めます。



うわっ、全然違う…。 俺のLINE、なんか「必死さ」が出てて重苦しいな。Afterの方は、なんか余裕があるっていうか、こっちから聞きたくなる感じがするわ。
【応用】これを営業に転用すると?(アナログ営業編)
この「あえて完結させない」技術は、電話やメール対応でも強力な武器になります。
即答できることも「持ち帰る」
お客様から質問されたとき、その場ですぐ答えられる内容でも、あえてこう言ってみてください。
「いいご質問ですね! 正確にお答えしたいので、一度社に戻って確認し、午後一番でお電話してもよろしいですか?」
これで「電話をする口実(未完了タスク)」が作れます。
お客様も答えを待っている状態になるため、午後の電話に出てくれる確率がグンと上がります。
【デート・商談編】「まだ帰りたくない」と思わせる魔法のタイミング
ツァイガルニク効果は、対面コミュニケーションの「去り際」でこそ最強の威力を発揮します。
「腹八分目」で解散せよ(恋愛編)
多くの人は「せっかくのデートだから」と、終電ギリギリまで一緒にいようとします。
しかし、満足度100%まで一緒にいてしまうと、相手は「楽しかった!」と満足して、関係がそこで完結してしまいます。
正解は、「もう少し話したい」というタイミングで切り上げることです。
- × 悪い例: 話題が尽きて沈黙が流れるまで一緒にいる。
- ○ 良い例: 「話し足りないけど、明日は早いからそろそろ行くね」と、ピーク時に解散する。



なるほどな…。俺、いつも「あと一軒行こう!」って粘って、最後は相手が時計を気にし始めるパターンだったわ。 商談でも「ついでにこの新商品の説明も!」って粘って、社長に嫌な顔されるんだよなぁ…。
【応用】これを営業に転用すると?(アナログ営業編)
カタログは「全部」見せない
商談が盛り上がっても、すべての資料を渡してはいけません。
「今日はサブレの試食だけにしておきますね。実はまだ開発中のすごいパッケージがあるんですが、それはまた次回お持ちします」
こうして「次回のネタ」をチラ見せして商談を終えます。
すべてを置いていくと、お客様はお腹いっぱいで検討を止めてしまいます。「続き(新パッケージ)」を見せるために、次のアポが自然に取れるようになります。
【Q&A】真面目な男性が陥る「ツァイガルニクの罠」
ここまで読んで、真面目なあなたは不安に思ったかもしれません。
「そんな駆け引きをして、嫌われないか?」と。 よくある疑問を整理しておきますね。
- 既読スルーして、そのまま忘れられませんか?
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興味ゼロなら忘れられます。だから「ピーク」で作るのです。 どうでもいい会話の最中に無視すれば忘れられます。重要なのは「盛り上がった瞬間」や「重要な質問を投げた直後」に引くこと。相手の中に「熱」があるうちに中断するのがコツです。
- 営業でお客様を待たせるのは失礼では?
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「正確に答えるため」という大義名分があれば大丈夫です。 単に遅いのは失礼ですが、「あなたのために一度持ち帰って精査する」という姿勢は、むしろ誠実さとして映ります。ただし、約束した時間は絶対に守ってください。
- やりすぎて「ウザい」と思われませんか?
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バランスが命です。 毎回毎回「続きは次回!」とやると、ただの「もったいぶる人」になり信用を失います。3回に1回くらいのペースで、「ここぞ」という時に使うスパイスだと心得てください。
【注意点】「焦らし」は信頼の上に成り立つ
最後に注意点です。 ツァイガルニク効果は、あくまで「相手があなたに少しでも興味を持っている状態」でなければ発動しません。
興味がない相手に既読スルーをしても、単に「連絡が来なくてラッキー」と思われるだけです。 また、頻繁にやりすぎると「仕事が遅い人」「情緒不安定」と判定され、信頼を失うリスクもあります。
| 活用レベル | 行動例(恋愛) | 行動例(営業) | 相手の心理 |
|---|---|---|---|
| 初心者 | ピーク時に「またね」と帰る | 商談時間をきっちり守り、ネタを1つ残す | 「もっと話したかった(好印象)」 |
| 中級者 | LINEで意味深なことを言って時間を置く | 「確認して連絡します」で接触回数を増やす | 「何だろう? 気になる(関係維持)」 |
| やりすぎ | 毎回話を打ち切り、数日放置 | 見積もりをいつまでも出さない | 「信用できない人だな…(失注)」 |



何事もバランスじゃ。 サブレも乾燥させすぎれば割れてしまう。 相手の反応を見ながら、誠実さの中に「ひとつまみの焦らし(スパイス)」を入れるのが、大人の男、そしてデキる営業マンの嗜みじゃよ。
まとめ:恋愛も営業も「未完成」が人を惹きつける


ツァイガルニク効果は、相手の記憶領域をハックする強力なツールです。
しかしその本質は、テクニックそのものではなく、「相手に想像させる余地を残す」という思いやりにあります。
全てを押し付けるのではなく、相手が追いかけたくなる「余白」を作る。 これは、商品の魅力を語りすぎずに顧客のニーズを引き出す、我々の「営業」にも通じる真理ではないでしょうか。
恋愛で「追われる男」になれれば、営業でも「指名される担当者」になれます。 まずは明日、小さなアクションから始めてみませんか?



よし! さっそく今から妻に「大事な話があるんだけど…」ってLINEして、一晩寝かせてみるわ! これで妻も俺のことが気になって夜も眠れないはずだぜ!



アキよ。それは単なる「意味深な迷惑LINE」じゃ。 下手すると家に帰った瞬間、離婚届を突きつけられるぞ? 「ポジティブな予感」を残すのがコツだと言ったじゃろ!
まったく、お主の修行はまだまだ続きそうじゃのう…。





